『チッソは私であった 水俣病の思想』

2021年08月13日/ 備忘録:読んだ&読みたい本たち

読んだ本&読みたい本を
忘れないように。
備忘録。

『チッソは私であった 水俣病の思想』
緒方正人 著

衝撃的な書でした。
2001年発行の"伝説的名著"を文庫化したとのことですが、
今の時代にこそ読まれるべき書です。
SDGsの、先を行く思想。

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(裏表紙解説文 引用)
水俣病を引き起こした行政や企業=チッソとの苛烈な戦いの果てに、自身も患者であった緒方に訪れた「チッソは私であった」という衝撃的な啓示。漁師として不知火海と語り合い、水俣病を「文明の罪」として背負い直した先に、病とともに生きる思想が立ちあがる。水俣病が生んだ伝説的名著に、石牟礼道子による緒方評「常世の舟」を増補し、待望の文庫化。
◎解説=米本浩二
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チッソ=加害企業
水俣病患者=被害者
という事実は変わらない。
緒方氏は、チッソに対する恨みを持ちながらも、
「狂った」瞬間に、自然に対する自分自身を含めた人間の罪をみてとった。
資本主義の罪とも言えるか。

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(本文 引用)
水俣病事件に限定すればチッソという会社に責任がありますけれども、時代の中ではすでに私たちも「もう一人のチッソ」なのです。「近代化」とか「豊かさ」を求めたこの社会は、私たち自身ではなかったのか。
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髙山文彦『ふたり 皇后美智子と石牟礼道子』(講談社 2015.9)
を1年ほど前に手に取った。

天皇と皇后が水俣病に向き合おうとする様子には、別段違和感を持たなかった。
沖縄や広島・長崎などへも訪問しているからだ。

でも、彼れらの行動をすべて同じ考えでとらえるのは
もしかしたら間違っていたのかもしれない。

彼らが「水俣を訪れる」という意味が、私にはまったく分かっていなかった。

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『チッソは私であった 水俣病の思想』
緒方正人 著
河出書房新社(2020.12)
978-4-309-41784-4
(493.1/オ)

書評 毎日新聞 2021/1/9 東京版朝刊




Posted by なかほどちびた at 17:00│Comments(0)
 
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